貸借対照表、資本の部
貸借対照表(バランスシート、B/S)の右側、
資本の部では、資本の調達源泉が記されています。
流動負債と固定負債の区分も、
資産と同じように正常営業循環基準と
ワンイヤールール(1年基準)が用いられます。
〇負債
◇流動負債
一年以内に返済しなければいけない負債のことです。
・支払手形……支払いのために自社で振り出した手形
・買掛金………掛買い(信用取引)をした代金の未払い分です。
・短期借入金…返済期限が1年以内の銀行や取引先からの借入金です。
・預り金………源泉徴収した税金など一時的に預かった金銭です。
・前受金………売上代金の前受け分です。
・仮受金………受け取った金銭のうち、
その内容や金額が未確定なものです。
・未払費用……未払い家賃など当期の費用だけれど請求前のものです。
・賞与引当金…従業員賞与の支払に備えた引当金です。
(平成15年4月1日以降は廃止になりました。)
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◇固定負債
・長期借入金………返済期限が1年を越える借入金や
発行して間もない社債のことです。
・退職給与引当金…従業員の退職金支払に備えた引当金です。
また負債には債務と引当金という分類もあります。
債務は支払い手形や買掛金、借入金や社債などで、
引当金は退職金に備えるための退職給与引当金、
返品に対応するための返品調整引当金などがあります。
○資本
なお資本については、債権者を保護するために、
儲けから出た利益を株主に還元(配当)することに
一定の制限を設けています。
この規制に基づいて資本の部は分類されています。
◇資本金
株主からの出資金でいわゆる自己資本、別名株主資本のことです。
株主に配当することは禁じられています。
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◇法定準備金
法律によって、積み立てることが義務づけられている準備金です。
当期純利益から株主総会の決議に基づいて役員への賞与や
株主への配当が支払われますが、そういった社外流出の度に、
その1/10以上、(中間配当金では1/10)を、
資本準備金と利益準備金の合計額が
資本金の1/4になるまで積み立てなければいけないものです。
これまで使途が限られていましたが、平成14年の商法改正で
法定準備金が資本の1/4を超える時は、株主総会の決議により、
資本準備金は資本剰余金に、
利益準備金は利益剰余金にすることができるようになりました。
剰余金になることで、
会社はこれを自由に使えるようになりました。
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・資本準備金…株主からの出資金のうち、
資本金とされなかったものです。
*払込剰余金…増資をした時に資本金に繰入れなかった分です。
*減資差益……減資をした時に発生します。
*合弁差益……合弁をした時に発生します。
会社は資本金が大きくなるとそれだけ
運営方法も複雑になり税金コストも高くつきます。
そのため、出資金のうち商法上資本金としなければいけない
金額以外は資本準備金として処理します。
・利益準備金…商法に従い、利益処分・中間配当を行う毎に、
社内留保として積み立てる準備金を管理します。
◇剰余金(正式名称は、その他の剰余金)
純資産額から資本金及び法定準備金を引いた残高です。
ここから配当が支払われます。
・任意積立金…配当平均積立金、災害損失積立金、製品保障積立金
価格変動積立金、減債基金積立金、事業拡張積立金、
別途積立金、などなど
・当期未処分利益…株主総会で利益の処分方法が
決められていない金額です。
当期純利益のうち税金を引き、
社外流出(配当や賞与)に回されなかった分が
内部留保になります。
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これは企業が自身で稼ぎ出したお金ですから、
内部留保金が多いというのは、
優良会社として胸を張っていいでしょう。
事業発展のための設備投資や人的投資の資金も、
負債に頼らず、
内部留保金から拠出できるのが一番です。
ただ、健全経営の証である内部留保の厚さですが、
一時”ため込み金”と批判されたこともあったように、
事業を発展させ企業競争に備えるのか、
いざという時に備えて財務体質の強化を図るのか、
あるいは株主に配当という形で還元するのか、
内部留保金をどう使うのかは、
トップの経営手腕が問われるところです。
※利益の社内留保は、法人の経理上は次の3つを合計したものです。
・利益準備金
・任意積立金
・繰越損益金
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