マネジメントシステム、PDCAサイクルの活用

マネジメントシステムとは、
株主のために効率的な経営を求められる企業にとって
なくてはならないものです。

収益性、競争力、成長性、グローバル化…
企業が直面する様々な課題に取り組んでいくには
より良いマネジメントシステムがあった方が、
楽ですし、プラスになります。

本来経営目標を達成するための仕組みやルールといったものは、
どの会社にも会社独自のものが存在しているはずですが、
ISOはこのマネジメントシステムに対して、
”このように取り組んでください”と様々な注文を出しているのです。

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代表的なものに、
PDCAのサイクルをまわして継続的改善を図りなさい
というものがあります。

PDCAサイクルとは、

◇プラン(Plan:計画)

経営者は会社経営のために経営方針や経営目標を立て、
経営目標を達成するための計画を立案し、
会社運営をスムーズに進めるための様々な手順やルールを決定します。
業務計画書や業務マニュアルといった文書は、
この段階でアウトプットとなります。

◇ドゥー(Do:実施)

Pで立てた計画や手順・ルールに従って確実に実施します。   
    
◇チェック(Check:監視・測定・分析)

手順通りに実施した結果、 目標とする仕事の結果が出ているか、
手順通りに行っても業務上発生する問題については原因を分析します。

◇アクト(Act:改善)

チェックして分析した結果から、仕事の進め方を改善したり、
計画書の内容を見直したりします。

→その結果活動はPに戻り、新しい計画書や手順書が作成されて
  実施、チェック、改善と循環を続けます。

こうしたPDCAサイクルを通して企業目標を達成するよう、
継続的に問題点を改善していくことを
ISOのマネジメントシステムは求めているのです。

ISOのマネジメントシステム認証を得るためには、
各ISO規格の固有の要求事項への適合はもちろん、
このPDCAサイクルを回し続けて行く企業であることを
審査で証明できればいい訳です。

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マネジメントシステム規格には、有名なISO9001や
ISO14001以外にも様々な種類の規格があります。
主なものを上げてみます。

品質マネジメントシステム規格(QMS:ISO9001)

顧客満足の向上を目指し、顧客の要求する製品・サービスを提供するため、
継続的にマネジメントシステムを改善し続けることを求めた規格です。

環境マネジメントシステム規格(EMS:1SO14001)

組織の活動、製品・サービスが直接又は間接的に
環境に与える影響を低減し、
環境への悪影響を与える事故の発生を予防するため、継続的に
マネジメントシステムを改善し続けることを求めた規格です。

◇自動車業界特有のマネジメントシステム規格(QS9000)

米国3大自動車メーカー(ダイムラークライスラー・フォード・
ゼネラルモーターズ)
が中心となって策定した国際規格です。

従来はこの3大メーカーに製造部品やサービスを供給する
納入業者用基本品質マネジメントシステムでしたが、
近年では自動車以外の業界でも適用され始めています。

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 ※ISO9001:1994をベースにBIG3が定める
  自動車業界特有の要求事項を付加しています。

◇自動車部品製造産業界におけるセクター規格(ISO/TS16949:2002)

  通称「TS2」とも呼ばれ、
  多くの自動車部品関連製造組織で
  採用されている品質マネジメントシステムです。
 
QS9000は、米国BIG3を直接顧客とする自動車部品や
材料・サービスの供給者に求められている
固有の要求事項の規格であるのに対して、
ヨーロッパでも自動車各社が
供給者に要求するために開発した自動車規格が
ドイツ規格、フランス規格、イタリア規格
それぞれに制定され運用されていましたが、
それらの規格を統合するための組織として
IATF(国際自動車タスクフォース)が結成され
1999年、ISO/TS16949を発行しました。

ISO9000シリーズの2000年改定に沿って
ISO/TS16949:2002が第二版として発行されました。
QS-9000は2006年で失効予定で、
自動車業界はこの規格に一本化される方向です。

   ※TSとは、Technical Specification のことです。

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◇食品安全マネジメントシステム規格(ISO22000)

ISO22000は、食品衛生管理で世界的に認められている
Codex委員会HACCPを軸としたISO規格です。
規格の構成はISO9001と酷似していますが、その中身は
HACCPの考え方を中心とした食品安全マネジメントシステムの
構築及び改善の内容となっています。

ISO22000は食品安全ハザードのリスク分析の手法を
HACCPから取り入れ、
マネジメントシステムの考え方を
ISO9001から取り入れています。

HACCP(ハサップ)とは、
Codex委員会(FAO/WHO合同食品規格委員会)
が作成した食品安全システム構築のための指針で、
1960年代に宇宙飛行士の食事の安全性を確保するために、
アメリカで開発された衛生管理の手法
です。

従来は最終段階の検査で安全性を確認してきましたが、
HACCPは農場から食卓に至るすべての段階で
予め危害を予測・分析して継続的に監視し、
その危害を最小限に抑えようとするものです。

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◇電気通信製品にかかわるマネジメントシステム規格(TL9000)

ISO9001:2000をベースに、
電器通信業界特有の要求事項を付加した規格です。

電気通信製品(ハードウェア、ソフトウェア及びサービス)の品質を
効果的かつ効率的に向上させる
システム要求事項が義務付けられている点と、
ISO9001等と異なり、組織のパフォーマンス測定と
報告が義務付けられている点が特徴です。

◇医療機器にかかわるマネジメントシステム規格(ISO13485)

医療機器の規制目的のためのシステムとも言われています。

医療機器は人命や健康維持に大きな影響を持っているため、
滅菌、リスクマネジメント活動、清浄・清潔・汚染防止といった
衛生面での厳格な医療機器特有の要求事項が
ISO9001:2000に追加されていて、
文書化の要求が多いのも特徴です。

◇情報セキュリティにかかわるマネジメントシステム規格(BS7799)

BSI(英国規格協会)が制定した国際的に認知されている
情報セキュリティマネジメントシステム規格で、
自治体、民間企業などの組織を問わず適用できます。
情報セキュリティ管理の仕組みについて規定した規格です。

◇情報セキュリティにかかわるマネジメントシステム規格(ISMS)

BS7799-1は情報セキュリティ管理実施基準で、
ISO/IEC17799として発行されましたが、
BS7799-2は、情報セキュリティ管理システム仕様で、
日本でもISMS(Information Security Management System)
適合性評価制度として発行されています。

ISO/IEC15408と並んで現在最もポピュラーなセキュリティの規格です。

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◇労働安全衛生マネジメントシステム規格(OHSAS)

職場における労働衛生災害リスクの低減と、
将来の発生リスクを回避するため、
継続的にマネジメントシステムを
改善し続けることを求めた規格です。

OHSAS(オーサス)に関する代表的な規格に、
英国規格協会BSIがBS8800を基本に
1999年に発行したOHSAS18001があります。

ISO9001(JIS Q 9001)、ISO14001(JIS Q 14001)と
共通のマネジメントシステムが採用されていることから、
品質・環境と合わせて同時に取組む組織が増えています

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Photo by (c)Tomo.Yun

第三者の認証登録を受けると、
市場参入の機会が増大したり、コスト削減に繋がったり
従業員の士気向上、経営の透明性が増すので
ステークホルダーからの評価が向上します。

しかし…マネジメントシステムが認証されたことで
市場での競争において優位に立てた、
という企業がどれくらいあるでしょう。

既に現在、ISO9001認証取得は常識化しています。
けれどQMS(品質マネジメントシステム)を導入して、
経営的に成果が得られていると言えるでしょうか。

規格の要求は効率やパフォーマンスを要求していませんし、
要求事項や審査機関が
具体的な改善策を提示してくれるわけでもありません。

マネジメントシステム規格を、
持続的革新と強い経営体質実現への
マネジメントツールとして有効に利用することが
企業の繁栄、ひいてはステークホルダーの利益、
快適な暮らしにも繋がるのです。

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