普通株・優先株・劣後株(後配株)
株主の権利によっても分類することができます。
※株主平等の原則からすると本来こういう分類は
おかしいのですが、商法ではこの例外として、
会社が株式の内容と発行予定数を定款に定めた場合、
権利の内容が異なる株式の発行を認めています。
普通株とは最も一般的な株式のことです。
単に株式といえば普通株のことを指し、
他の株式と区別するために普通株と呼ばれています。
優先株と違い議決権があります。
優先株とは特殊株の一種で、普通株に比べて優先的に
配当金や残余財産の分配を受ける権利があります。
但しその反面
議決権や新株引受権が与えられていないのが普通です。
※これを無議決権株式といい、以前は優先株だけの物でしたが
2002年の商法改正で、種類株の1つとして
発行できるようになりました。
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また優先株は配当率が固定されていて、
配当を受け取れる確実性は増しますが、
企業の経営が好調で儲かっている時でも
高配当は受け取れません。
優先株は普通株に比べてコストがかかりますが、
投資家に有利な条件を出すことで資金を調達しやすく、
銀行のように自己資本比率に神経を使う企業にとっては、
その比率を向上できる大変助かる株式です。
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優先株の多くは普通株へ転換できる転換権が付いています。
これを転換予約権付株式と呼びます。
これまでは転換株式と呼んでいましたが、これも
2002年の商法改正で、名前が変更されました。
※1998〜99年にかけて、銀行の優先株を
政府が購入するという形で公的資金が投入されましたが、
この時に付けた普通株へ転換する権利を行使しないままでは
政府が責任を問われることになります。
※三菱UFJとみずほ両フィナンシャルグループ、
三井住友も1年前倒しして2006年度中に、
公的資金完済の計画を立てています。
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後配株(劣後株)とは、優先株と反対に
普通株より後に配当金や残余財産の分配を受ける、
投資家にとっては不利な株式のことです。
普通、会社に利益が上がっていない場合
株式を発行して増資すると、一株当りの価値が下がり
既存の株主の配当も下がる恐れがあります。
普通株主の利益を損なわずに、資金調達する方法として
考えられました。
このような性格上劣後株は、主に経営者や発起人に対して、
また政府が特殊法人や公共事業会社等の株式を
取得する際に利用されています。
※また相続税対策として、
優先株や劣後株が利用されることもあります。
会社のオーナー社長が長男に事業を引き継がせたい時、
長男には議決権はあるけれど配当が少ない劣後株を譲り、
自身は配当は多いけれど議決権のない優先株(無議決権株式)
を所持すれば、
会社の乗っ取りや経営権を巡った争いを未然に防ぎつつ、
贈与税・相続税対策もスマートに乗り切れる
大変優れた手段といえるでしょう。
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