ワラント債(新株予約権付社債)とは
ワラント債とは、発行会社の株式を
購入する権利の付いた社債のことで、
この権利の事をワラント(新株引受権)と言います。
ワラントを持っていると、その有効期間(行使期間)内の
好きな時に、予め決められた値段で
その会社の株式を買うことができます。
転換社債の「転換価格」にあたるもので、
これを行使価格と言います。
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ワラント債は、株式を取得する際に新たに資金が必要ですが、
株式購入後も社債が手元に残るのが、
転換社債との大きな違いです。
ワラントの権利を実行することを行使するといい、
権利を実行しないことを放棄するといいます。
行使期間を過ぎるとワラントの権利は無価値になり、
国内で発行されるワラントの行使期間は
商法では10年以内としています。
社債額面に対して与えられるワラントの割合のことを
付与率といい、付与率は最大1と定められています。
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ワラント債の社債とワラント(新株引受権)を
別々に販売できるものを分離型ワラント債といい、
1985年から発行が認められたのを機に、
外貨建ワラントと同様に現在流通しているタイプは、
ほとんどが分離型ワラント債です。
切り離された社債部分を、エクスワラント(Ex-warrant)とか
麻雀用語に例えてポンカス債と呼んでいます。
エクスワラントは普通社債と同様に定期的に利息がもらえます。
一方ワラント部分のことは、新株予約権証書と言います。
新株予約権証書が分離する前のワラント債、つまり
広く出回っている分離型ワラント債のことを、
カムワラントと言います。
エクスワラントはそのまま債券市場で売買もできますし、
表面金利は普通社債より低いのですが、
ワラントが無い分価値が下がるので、
最終的な利回りは高くなります☆
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ワラントの魅力は何といっても小額の資金で、
株式を購入しているかのような利益が出ることでしょう。
この少ない資金でたくさんの利益が出る様を、大きさの違う
歯車にたとえ、株価とワラント価格の間の変動率を
てこの力に見立て(レバレッジ)、
これをギアリング効果と呼んでいます。
ワラント投資の効率性を示す指標がギアリング・レシオです。
株価が1株あたりのワラント金額の
何倍にあたるかを示すもので、
数値が大きいほど、効率がいいということになります。
これは企業にとっても、ワラント(新株引受権)という
付加価値が付いているため普通社債に比べて低金利で
資金が調達でき、ワラントが行使されると(株式購入)
社債とは別に資金を得ることができます。
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ワラントの価値は、株価が行使価格より
どれだけ値上がりしているかで決まります。
株価と行使価格の差額をバリティ(理論価格)と呼び、
現時点でのワラント(新株引受権)の価値を示します。
バリティ(%)=(株価ー行使価格)÷行使価格×100
転換社債のバリティとの違いは、債券本体部分の
価格(100%)を含めて表示するかどうかです。
転換社債のバリティは150%となります。
バリティは市場のワラント価格の基準です。
株価が値上がりすると予測する人は、
バリティより高値でもワラントを購入しようとします。
このバリティより高値の部分、上乗せした部分を
プレミアム(かい離率)といいます。
つまりワラント価格は、バリティにプレミアムを足した値段、
ということになります。
ワラントコスト=バリティ金額+プレミアム金額
※ワラントもオプションの一種ですが、
オプションではバリティとプレミアムの
合計額をプレミアムと呼んでいて、
少し違うので注意が必要です。
※オプションとは特定の日に特定の売買を行う権利のことです。
買う権利をコールオプション、売る権利をプットオプションといいます。
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ワラント価格が、バリティからどれだけ離れているかを見るのに
利用されているのが、かい離率(プレミアム)です。
ワラントがどれ位割高に買われているかを見る指標です。
普通プレミアムは金額ではなく、
株価からの離れ具合を%で表します。
プレミアム%=[(ワラントコスト+行使価格)÷株価ー1]×100
ワラントはギアリング効果の高い
ハイリスク・ハイリターン商品です。
海外の方が発行費用が安いため
主に海外市場で発行されていて、
これを外貨建ワラントと呼んでいます。
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