マーケットメーク制度の理想と現実
発展と改革を遂げてきた店頭市場(ジャスダック市場)ですが、
売買高が少なく、売りたい時に売れないというのは
大きなマイナス要因でした。(流動性リスク)
マーケットメーク制度では、根付け業者とも言われる
証券会社(マーケットメーカー)が、必ず
売買の相手方として存在するので、
流動性リスクのない売買手法が実現しました。
ジャスダック市場特有の制度です。
その取引は相対で、成行注文はできず、
投資家はすべて指し値で注文を出します。
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また複数のマーケットメーカー間の競争を促すことで
適正な価格を維持するために、
最良気配を提示したマーケットメーカーのみが
売買できる仕組みが取られています。
ジャスダック証券取引所のマーケットメイク銘柄(MM銘柄)に
指定されるためには、4社以上の証券会社が
届け出を行う必要があります。
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当初、流動性の向上などを期待して導入された制度ですが、
実際に始まってみると、理想とは掛け離れた制度では…
という声も日増しに強くなっています。
相対取引であるため、投資家が望む値段が
提示されていても、取引が成立するとは限りません。
投資家同士の注文がぶつかるわけではないからです。
また現在のマーケットメーク制度では、
投資家の指値がマーケットメーカーの気配より良くても
その気配を公表する義務がありません。
つまり投資家の指値以下でマーケットメーカーが買い、
投資家の指値で売ってスプレッド(売買の差額)を
利益として享受することもできるのです。
日本がお手本にした米国ナスダック(NASDAQ)では、
オーダーハンドリングルールと呼ばれる規制が存在します。
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客の注文の指値が自分の気配より良い場合は、
それを提示しなければならず(オーダーディスプレイルール)、
客の指値注文とマーケットメーカーの気配が同値段の場合は
客の注文を優先しなければなりません。(マニングルール)
他にも値幅制限が課せられていないので、
投資家が事前に価格の意思表示をしていないと、
とんでもない値段がつく可能性もあります。
またマーケットメーク銘柄については、
「バイカイを見る」という概念がなくなったため、
マーケットメーカー以外の証券会社にとっては、
取引に非常に手間がかかるようになりました。
これは将来的には、コスト高となって
返ってくるでしょう。
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