貸借対照表とは(資産の部)
貸借対照表とは、企業のある時点での
資産状況を示す財務諸表のことです。
左右に分けられたうち左側を資産の部(借方、debit)といい、
右側を資本の部(貸方、credit)といいます。
資本の部は負債と資本に分けられ、
必ず、負債と資本の合計が資産になります。
資産 = 負債 + 資本
左右の合計は常に同じでなければならず、
貸借対照表がバランスシート(B/S)と言われる所以です。
まず資産の部から見て行きましょう。
株主から調達した株主資本や、社債の発行・銀行からの借入れ
といった他人資本をどういう風に運用しているか、
資本の運用形態がここで分かります。
いろいろな名称が並んでいますが、
売ればお金になるもの、と考えると分かりやすいかもしれません。
(ただし、繰越資産は換金不能です。)
現金の代わりを成すこれらの財産を総称して資産といいます。
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資産は、上から現金化されやすい順に並べてあります。
※資本の部の資本(株主資本)は一度資金を調達すると、
剰余金の積み立てはありますが、
それ以外はさほどこの金額が動くことはありません。
それに対して、資産の部と資本の部の負債は、
企業活動に伴う金銭及び債券類の出入りが頻繁なため、
固定と流動という区分をするのが一般的です。
○資産
◇流動資産
1年以内に現金化される資産のこと、もしくは
現金に換えやすい資産のことです。
・現金や小切手…現金や、受取小切手など即時換金できる証券です。
・当座預金………利息がつかない決済用の預金です。
・普通預金………通常の預金です。いつでも引き出せます。
・受取手形………売上代金の回収として受け取った、
他人振り出しの約束手形・為替手形です。
・売掛金…………掛売り(信用取引)した売上代金の未回収分です。
・有価証券………売買のための短期所有の債券・株券のことです。
※市場価格のあるものに限ります。
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以上が[当座資産計]
・商品………販売する事を目的として外部から買い入れた物品です。
証券会社では有価証券、
不動産業では土地・建物も商品になります。
・製品………販売する事を目的として自ら製造した物品です。
・半製品……製品の製造途中ですが、そのまま販売できるものをいいます。
例えばテレビを作る過程でのブラウン管、
製材から初めて木工製品を作る過程での板など、
そのまま販売できるので半製品です。
・仕掛品(しかかりひん)…製品の製造途中でそのまま販売できない
未完成品のことです。
※仕掛品は業種によって呼ばれ方が異なっていて、建設業では
未成工事支出金として処理されます。科目は棚卸資産です。
・原材料……製品の製造を目的として外部から買入れたものをいいます。
・貯蔵品……文房具や事務消耗品、包装資材や燃料などです。
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以上が[棚卸資産計]
☆棚卸資産で節税対策☆
※棚卸資産の評価の仕方には大きく分けて
原価法(8種類)と低価法があり、
自社の性質に合った方法を8つの中から一つ選び
さらに低価法を採用すると、
自社が選択した方法で算定された価格と
時価のいずれか低い方を取得減価として評価できるので、
税引き前当期利益が少なく算定され
結果、節税することができます。
棚卸資産の時価が把握できる場合は、
低価法を取り入れた方がいいでしょう。
・短期貸付金…役員・社員・取引先などに短期で貸した金銭等です。
・未収入金…商品・製品以外のもの(工場用地など)を売った際の
未回収販売代金や、
本業以外の取引からきた未回収金(債権)です。
預金の利息もここに入ります。
・仮払金……出張旅費などの未精算金です。
・前払金……仕入の際に前払いした金銭をいいます。
・立替金……社員や取引先などが支払うべきものを
一時的に立て替えた金銭です。
・前払費用…支払済ですが、次期以降の費用とされるべき費用
(前払利息など)や、未だ提供を受けていない
労働やサービスに対する支出です。
・貸倒引当金…売掛金の未回収を見積もったものです。
※流動資産は現金が典型的なものですが、
一年以内に分譲の予定がある不動産などもここに含まれます。
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☆ワンイヤールールの例外☆
ワンイヤールールとは別名1年基準ともいい、
貸借対照表の流動と固定区分を分ける基本ルールです。
1年以内に清算されるものを流動資産(流動負債)、
1年超のものを固定資産(固定負債)と分類しますが、
売掛金や棚卸資産の中には、1年以内に
現金化できないものが多々あります。
ここで正常営業循環基準といって、
正常な営業活動によって発生する売掛金や買掛金、
棚卸資産は、営業循環の途中にある資産・負債であるとして、
流動資産・流動負債に分類するという例外が
認められているのです。
つまり、不良資産があっても売掛金になり、
滞留在庫があっても棚卸資産として
計上されることになり、
この辺りの不透明さが
キャッシュフロー計算書が求められるようになった
一要因でもあります。
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◇固定資産
・有形固定資産…建物や備品など、実態のある設備類のことです。
・無形固定資産…借地権や特許権のことです。
・投資等…………子会社への投資等がこれにあたります。
敷金保証金もここに含まれます。
※資産は原則として買った値段で評価する決まりがあります。
(取得原価主義)
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◇繰延資産
繰延資産とは支出した費用のうち、その支出の効果が
支出の日以後1年以上に及ぶものをいいます。
今後利益を生む可能性があるものを資産としておこうという事です。
会社設立にかかった創立費、営業開始までにかかった開業費、
新株発行費、社債発行費、社債発行差金、建設利息などです。
※社債発行差金とは、社債の券面額と発行額との差額です。
※建設利息とは、特定の業種で認められる
創業初期の赤字段階での配当です。
※従来、繰延資産とされていた試験研究費と開発費は、
2003年3月期から、支出が発生した決算期に
一括処理することになりました。
本来債権者保護の観点からいうと、財産性のない、つまり
換金不能の資産は、商法において、
貸借対照表へ計上することは認められていないのですが、
会計ビッグバンなどの影響により、今日の会計思考が
動態的思考へと変化していることもあり、
商法においても、繰延資産の計上を条件付きで容認しているのです。
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