ストックオプションとは
ストックオプションとは、新株予約権の一種です。
会社役員や従業員が一定期間内(権利行使期間)に
予め決められた価格(権利行使価格)で、
会社から自社株を購入できる権利のことです。
※購入しなくても構いません。(権利放棄)
※権利行使価格のことを、ストライクプライスとも言います。
株価が行使価格を上回った時点で権利を行使し、
株式を売却してキャピタルゲインを得ることができるので、
社員の株価に対する意識が高まり、
会社の業績向上に努めようとするインセンティブ報酬として、
1990年代以降、主にハイテク関連企業で多く取り入れられました。
ストックオプション制度は、平成14年(2002年)の商法改正で
新株予約権の無償発行方式になるなど、
より使い勝手のいいインセンティブプランとなりました。
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それまで対象者が、自社の役員や従業員に限られていたのが、
子会社の取締役・従業員、更には取引先にも可能になりました。
発行済株式総数の1/10までとされていた
発行枠(付与株式数)も制限がなくなり、
株主総会における付与対象者の確定も不要になりました。
※従業員持株会は個人の貢献度等によって
持株数を自由に調整できない点が、
新株予約権等と異なっています。
会社は付与株式を、
新株発行にするか自己株式(金庫株)の交付にするかの選択を、
行使時点までに決めればよくなりました。
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権利行使期間も制限がなくなりました。
報酬額は株価上昇に連動しますが、与えるのは権利なので、
会社としてのコストは変わりません。
会社にとっては株価を利用した低コストの成功報酬制度といえます。
(税制上の優遇措置を受けるには無償発行でないといけないので、
ほとんどの場合、会社が負担する費用は0です。)
※国税庁(IRS)の定める一定の適格要件を満たす
ストックオプションの場合(税制適格ストックオプション)、
権利保有者は、権利を行使した時点では通常の租税がかからず、
株式を売却もしくは譲渡された時にのみ課税されます。
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ストックオプション制度の導入は、会社が企業価値や株主価値を
強く意識しているというアナウンス効果(PR)にもなり、
社員のやる気が高まり実際に株価が上昇すれば、
既存株主にとっても、大きなメリットとなります。
しかし従業員持株会など福利厚生と違って
インセンティブプランとしての賞与なので、
会社にとって有益な人にしか付与されないという、
格差が生まれます。
権利保有者の利益が株価上昇と連動しているため、
不当な決算処理をする人も出てくるなど、
モラル低下の危険性があります。
権利が行使されると、
時価よりも低い株式が発行されることになり、
既存株主にとっては面白い話ではありません。
(株式価値の希薄化)
会社の金庫株の交付という形を取るにしても、
時価よりも低い価格での売却になるため、
その分企業価値はマイナスになります。
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発行枠の制限が無くなったと言っても、
その発行にあたっては、
企業は十分な注意を払うべきでしょう。
オプションを行使して利益が出る状態をインザマネー、
設定価格(行使価格)の方が時価より高いか同じで、
儲けが全く無い状態をアンダーウォーターといいます。
ハイテク産業の活力が衰えた米国では、
マイクロソフトのビル・ゲイツ会長は2003年7月に、
「この9月から、ストックオプションは一切発行しない」
と発言しています。
ストックオプション制度の抱える問題点については、
次の項目で取り上げます。
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