SOX(サーベンス・オクスリー)法とは
SOX(サーベンス・オクスリー)法とは、
エンロン事件やワールドコム事件など
1990年代末から2000年初めにかけて多発した
不正会計スキャンダルを受けて、
監査制度やディスクロージャーの強化・徹底、
コーポレートガバナンスのあり方等に関して
抜本的な改革を行うことを目的に、
2002年に制定された米国連邦法で、
1933年の証券法、1934年の証券取引所法制定以来
最大の変更といわれています。
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正式には Public Company Accounting Reform and Investor
Protection Act of 2002(上場企業会計改革および投資家保護法)
という長い名前が付いていますが、法案を連盟で提出した
ポール・サーベンス(Paul Sarbanes)上院議員と
マイケル・G・オクスリー(Michael G.Oxley)下院議員の名前から
取って、サーベンス・オクスリー(SOX)法と呼ばれています。
日本では普通、企業改革法と訳されています。
エンロンの巨額粉飾決算スキャンダルで、
エンロンを担当していた名門アンダーセン会計事務所が、
たった1通のEメールで罪が確定し消滅したことは、
全米に大きな衝撃を与えました。
当初はすべての財務諸表を自動的に生成できるようにと
法案制定に向けて準備が進められていましたが、
財務処理の自動化で大きな負担を強いられる
一部大手銀行の抵抗にあい、最終的には、
企業の内部統制というやや広い解釈を伴ったものになりました。
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ところで、このSOX法というのは、
エンロンやワールドコム事件で突如浮上してきたのではなく、
財務諸表の不正に対する問題は実は昔からあったのです。
米国では、財務諸表における不正を防止するための議論は
1930年代から活発に行われてきたのですが、
コスト負担を強いられる経営者たちの反発に遭い、
法制化には至りませんでした。
そんな中ウォーターゲート事件が発生。
1977年には海外不正支払い防止法(FCPA)
という法律が成立しました。
そしてこのFCPA制定に
加速を付けたのはロッキード事件だったのです。
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ウォーターゲート事件を調査していたSEC(米証券取引委員会)は、
米国企業が海外で巨額の賄賂取引を行っていた事実を突き止めます。
これは、ウォーターゲート事件の次のネタを探していた
米メディアに格好の材料となり連日大きく取り上げられました。
当時米国には、国内の政治化・公務員を対象とした
企業への賄賂を取り締まる連邦法はありましたが、
海外賄賂を規制する法律はありませんでした。
新法の成立を求める声が高まる中、抜本的な改善の
必要性を感じたプロキシマイヤー上院議員が旗振り役となって
FCPA関連法案を提出すると、即座に議会を通過、
カーター大統領の署名によって1977年12月、
世界で初めての海外賄賂を犯罪とした法律ができたのです。
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FCPA(Foreign Corrupt Practices Act)は大きく分けて、
会計処理条項と賄賂禁止条項の2つから成っています。
巨額の賄賂はどうやって生み出されたのか、
調査を進めた結果、企業が帳簿を巧妙に粉飾し
裏金を捻出していたことが分かり、
会計処理にメスを入れることによって
賄賂の元を根絶しようとしたわけです。
会計処理条項では、経営者の管理の下、
社内の資金の流れを正確に記録し、
発生する支払いについて不正な意図がないことを
いつでも証明できる内部会計管理制度を
創設・維持することを求めています。
FCPA制定の本当の狙いは企業の透明度と
アカウンタビリティを高めることにあったのですね。
厳しい会計処理によって裏金の出所を突き止めれば、
賄賂も根絶できるというのが法案作成にあたっての認識でした。
しかしこの法律は、
「経営者の管理の下」という所に問題がありました。
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SOX法では、企業は有価証券報告書など開示義務のある
財務諸表が正しいと宣言することが求められ、
財務諸表に関わる内部統制について、
「外部の監査人による監査」が要求されています。
※SOX法では内部統制の定義を、
「財務報告に関連する会計処理が
適正に行われていることを保証する活動」
としています。
ところでこの内部統制ですが、
言葉として少し分かりにくいですよね。
実はアメリカでも内部統制の定義については
会計士や企業、規制当局がそれぞれの立場で
議論を続けてきました。
次の項目では、トレッドウェイ委員会支援組織委員会
(COSO、コーソー)が1992〜94年に公表した
報告書(COSOレポート)を取り上げ、
内部統制について見ていきましょう。
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